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    脳動脈瘤




  • 【要点】

     脳動脈瘤ができる原因は不明ですが、先天的あるいは後天的に脳の血管壁が脆弱となり、この部分に長年にわたる血液の流れのストレスが加わって、血管が風船のように膨らんで形成されると考えられています。多くの場合、血管の分岐部分に形成されます。脳動脈瘤はある程度以上の大きさに成長すると、神経等を圧迫して、特有の神経症状を呈したり、あるいは破裂して「くも膜下出血」を発症します。



    【治療の必要性について】

     脳動脈瘤は、一旦破裂してくも膜下出血を起こすと、50~60%の死亡率があり、また20~30%程度の例で重篤な後遺症を残すために、本来は治療が望ましい疾患とも考えられます。
     しかし、脳動脈瘤は必ず破裂するというものではなく破裂せずに一生を過ごされる方が圧倒的に多い血管奇形です。
     そのため、当施設では ①破裂する可能性が高いと考えられる方、②神経を圧迫して神経症状を呈している方、③既に破裂している方(基本的に緊急手術となります)
     に安全と考えられる治療の有益性と治療に伴う危険性をご説明しております。
     上記に当てはまらない患者様については、画像による経過観察をお勧めしています。

     最近発表された大規模研究の結果(UCAS japan)によれば、大脳に存在する未破裂の動脈瘤が破裂する危険性は、0.95%/年とのデータが報告されています。また、破裂する危険性は動脈瘤の大きさが大きくなると高くなるとの結果も発表されております。さらに、欧米人と比べて日本人は約3倍も破裂率が高いと報告されています。



    【治療方法】

     大きく分けて次の2つがあり、患者さんの動脈瘤の位置や形、病状などに適した治療方法をお勧めし、患者さんの御希望に沿った治療を心がけています。

    ①ひとつは開頭による手術 (動脈瘤にクリップをかける頸部クリッピング術、動脈瘤の周りを筋肉や接着剤等を用いて固めるラッピング術、そして動脈瘤の前後の動脈の血流を遮断するトラッピング術など)です。
    ②もうひとつの方法は、開頭せずに行う血管内手術(塞栓物質を動脈瘤内に詰めて瘤内に血液が入らないようにして破裂を予防する手術)です。

    ①開頭術
     全身麻酔下で行います。
     必要最小限の皮膚切開と開頭術を行い、脳動脈瘤の頚部をクリップではさみ、動脈瘤への血流を遮断することにより破裂を防ぎます。(用いるクリップはほとんどはMRIに対応したチタン合金でできていて、一生身体の中に残ることになります。)
     動脈瘤頚部にクリップがかからない場合は、動脈瘤壁を筋肉片や接着剤等で固めるラッピング術に変更することもあり、さらにやむを得ない場合には動脈瘤の親動脈の血流を遮断するトラッピング術を行うこともあります。


    ②血管内治療
     脳血管撮影を行い、カテーテルを動脈瘤の中まで誘導して動脈瘤の中にプラチナの糸(コイルと呼んでいます)を留置し、動脈瘤の中に血流が入らないように固めて、破裂を防ぎます。

     詳細は 血管内治療のページ(コイル塞栓術) をご参照ください.



    【破裂してしまったら…(くも膜下出血)】


     脳動脈瘤が破裂すると、今まで経験したことのない頭痛が突然に生じることがよく知られていますが、出血量が少なければ症状も軽いことがあり、警告頭痛と言われ注意を要します。出血量が多ければ意識の状態はすぐに悪くなり、死に至ることもあります。
     一般的に脳動脈瘤が破裂してしまうと、適切な治療を受ける前に約30%の人が死亡します。幸いにして死は免れても、再び破裂することで致命率は極めて高くなり、救命しえても重篤な後遺症を残す可能性はさらに高くなります。
     そのため、脳動脈瘤破裂後の可及的速やかな再破裂防止が重要と考えています。
     当院では、破裂した脳動脈瘤の形状や部位,また患者様の全身状態を総合的に判断し、開頭手術または血管内治療といった再破裂防止のための治療を24時間体制でご提供いたしております.



    【当院でのくも膜下出血の開頭術の特徴】

     くも膜下出血発症後の約2週間は脳梗塞を起こしやすい時期であり(脳血管攣縮期)、この時期を如何に問題なく過ごせるかで予後は大きく変わります。  当院では、くも膜下出血の手術加療時に脳血管攣縮の原因と考えられているくも膜下の血腫を徹底的に洗い流すように努めており、術後の脳血管攣縮による脳梗塞の割合は極めて低く、一般的な治療成績と比べても良好な治療成績をおさめています。

    「正常」のCT画像では脳の隙間(脳槽)が黒く抜けてみえます。
    「手術前」のCT画像では、脳の隙間が白くなっています。この白色は血腫を反映したものです。典型的なくも膜下出血の画像です。
    「手術翌日」のCT画像で「従来法」と比べて「血腫洗浄法」を行った方は、血腫(白色)が少なくなっていることがわかります。