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    髄膜腫





  • 【要点】

     脳を包む膜から発生する腫瘍で、多くは良性ですが、悪性のものも存在します.
     脳腫瘍全体の30%を占め、50~60歳台をピークとし、女性に多く認められる疾患です.
     通常、硬膜を基盤として凸状に盛り上がりながら増大し、脳を圧迫することで様々な症状が出現します。
     治療は開頭術による摘出が基本ですが、補助療法として血管内治療や放射線治療を併用することがあります。
     無症状で発見された場合は、腫瘍の大きさや部位、各種画像検査から得られる腫瘍の性状などを総合的に考えて、定期的な画像検査による経過観察がよいのか、また治療を行った方がよいのかをご説明し、患者さんの希望に沿った治療を心がけています。



    【リスク】

     放射線被曝の影響が最も大きいとされています。その他には、遺伝や女性であることなどがリスクとして報告されています。
     遺伝子:22番染色体の欠失が髄膜腫の患者さんの約半数に認められ,22番染色体に存在する癌抑制遺伝子であるNF2(neurofibromatosis type 2) 遺伝子が発生に関与していると考えられています。



    【症状】

     症状は腫瘍が発生する部位によって様々です。
     代表的な症状として次のものが挙げられます。

     ①片方の手足の麻痺症状(多くは軽症で発見されます。)
     ②視力・視野障害
     ③けいれん発作
     ④精神症状・認知症様症状
     ⑤複視(物が二重に見える症状です)
     ⑥その他(嗅覚障害、聴力障害、顔面神経麻痺)

     いずれも基本的には緩徐に症状が出現するため、画像検査を受ける時には既に大きいことがほとんどです。



    【検査】

     頭部CT検査、MRI検査、核医学検査、カテーテルを用いた脳血管撮影を行います。
     それぞれの画像検査の結果を総合的に評価し、安全に治療を完遂するために必要な治療計画をお伝えいたします。



    【自然経過】

     約4年間で40%が増大し、平均腫瘍増大速度は2mm/年と報告されています。ただし、急激に増大するものもあるため、発見された後の1-2年間は細かなフォローが必要と考えます。
     また、次のような髄膜腫であれば増大する可能性が高いと考えられています。

     ① 60歳以下で発見されたもの
     ② 石灰化のないもの
     ③ 腫瘍が柔らかいもの
     ④ 腫瘍によって脳が浮腫んでいるもの
     ⑤ 腫瘍のサイズが大きなもの



    【治療の必要性】

     髄膜腫が発見されても無症状で、かつ小さければ基本的には経過観察が推奨されます。
     ただし、次のようなものについては治療を検討する必要があるものと考えます。

    ①腫瘍による症状が疑わしい場合
     症状が腫瘍による圧迫で生じている場合、今後さらに腫瘍が大きくなり脳を圧迫し、また脳血管を巻き込んで大きくなると、腫瘍周辺の脳が浮腫を起こして脳が壊れてゆきます。病初期であれば手術を行うことで脳の破壊は最小限に抑えられますが、脳浮腫を起こし始めると手術を行っても症状が残ったり、けいれん発作を起こす可能性が高くなります。

    ②腫瘍が増大傾向にある(悪性所見が疑われる)場合
     腫瘍の増大は、悪性が否定できない所見です。
     脳腫瘍は病理組織検査(実際に腫瘍を摘出して腫瘍組織を精密に調べる検査)によって確定診断が行われます。
     画像検査のみでは正確な診断は不可能であり、増大する腫瘍の場合は悪性の可能性も考える必要があります。

    ③今後大きくなると手術の難度が高くなることが予想される場合
     発見時は無症状であっても、今後症状の出現が強く予想される場合には治療を御検討頂くようにしております。なぜなら、脳腫瘍の手術は腫瘍が大きくなって、広範な脳浮腫や大切な神経組織や血管を巻き込む前に行う方が安全なためです。
     特に脳の深部(脳の中心)に発生した腫瘍の場合は、早めの摘出が一般的に望まれます。



    【治療方法】

     基本的は摘出術になりますが、患者さんの病状に合わせて血管内治療や放射線治療が必要と判断された場合には、それらを組み合わせて行います。

    ①外科的手術
     全身麻酔下に、可及的に全摘出を目指します。
     ただし、全摘出が困難な部位、または全摘出により術後に合併症が高率に生じると予想された場合は、安全な範囲での摘出にとどめ、必要に応じて放射線治療を併用することが有効とされています。
     手術の際は、手術顕微鏡、神経内視鏡、神経モニタリング、ナビゲーションシステム、術中血管撮影、超音波検査など多様なモダリティーを用いて安全な治療を心がけています。
     また腫瘍の性状によっては、手術前に血管内治療(腫瘍の栄養血管を塞栓する治療)を行うことで術中の出血を減らすことが可能であり、手術の安全性の向上だけでなく手術時間の短縮、すなわち身体への負担が軽減されるように努めております。

    ②放射線治療
     摘出後の残存腫瘍や悪性髄膜腫には、術後の放射線治療が推奨されます。
     ただし残存腫瘍については、組織学的に良性と診断できている場合は経過観察を行うこともあります。

     放射線治療の中でもガンマナイフ治療というものがあります。これは放射線を局所(腫瘍)に集中的に当てられ、従来の放射線治療で問題になっていた正常脳組織への放射線被ばくを抑えることができます。
     ただし、良い適応は次のようなものに限られています。
     ・ 大きさが3cm未満(小さければ小さい程、成績は良いです)
     ・ 視神経との距離が離れている
     ・ 頭蓋底腫瘍(それ以外では脳浮腫が生じる可能性があります)